エビちゃん 「そう言えば、コエビスくん。 “お月見どろぼう”って聞いたことある?」
コエビス 「???」
エビちゃん 「実はね、昔は十五夜の日は特別に、子供は玄関や軒先にお供えしてあるお月見団子を、盗って食べてもよかったんだって。」
コエビス 「エッ!? 本当!?」
エビちゃん 「箸や竹や木の棒をもって、ご近所の庭先を覗いて、飾ってあるお団子やお芋を突いてまわったんだって。 竹の竿の先に釘をつけた専用の道具で突いて回った子供もいたんだって。」
コエビス 「何だか、楽しそうだね。 でも、子供にはありがたいけど、盗られるお家や、お月様にとっては、災難だよね。」
エビちゃん 「それがね。 お供え物は、たくさん盗られるほうが、縁起が良いとされたの。 お月様がそのお家のお供え物を気に入ってお召し上がりになったということで、そのお家によりたくさんの幸せが訪れると考えたんだって。」
コエビス 「へぇ〜。 それは、子供にとっては、ホント、好都合だね。 でも、昔はっていうことは、今はもう“お月見どろぼう”しちゃあダメなんでしょ(涙)。」
エビちゃん 「残念ながら、この“お月見どろぼう”の風習は、ほとんどみられなくなったみたい。 最近は、お月見のお供えをするお家そのものが、減ってしまったものねぇ。 でも、その名残で、子供たちにお菓子を配るところもあるそうよ。 日本版ハロウィーンって感じね。」
コエビス 「でも、そんな楽しい風習なら、ぜひ、また復活してほしいなぁ。」
エビちゃん 「そうね。 でも、どうせ復活するなら、十五夜は、月見酒をいくらでも盗み飲みしてもいいってことになってなってくれないかなぁ。」
コエビス 「お姉ちゃん!! それじゃぁ、酒屋さんが大変なことになっちゃうじゃない!!」